アセトンで転写(篆刻)
石を刻していくと思わぬ欠けが発生したりします。その偶発的な欠け方は時にして良い効果をもたらすこともありますが、逆に許容範囲を超えて没となることもあります。
この没になった時、印面に文字を何時間も掛けて書き入れる労力を悔やむより、貴重な時間を失ってしまう辛さの方が遥かに大きい。
なので、保険を掛ける意味でも印稿を書いて、それをレーザープリンターで印刷した物をアセトンを使って印面に転写させてます。
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転写させるメリット
転写させることで印面に文字を書き入れる布字の作業時間が通常、数時間かかるとこが1分ほどで完了するメリットは絶大。
1回で刻し終えるなら、転写させる準備などで10分ほどのタイムロスにはなりますが、万が一の保険と思ったら10分は大したことはない。
また印稿を作っておけば、後々、展覧会への出品となった際に出品作の候補としても使えるので、私としては大きなメリットがあります。実際、今年1月に宮崎県総合美術展の締切2日前と知ってから作品を刻して額装までして美術館に搬入して入選となったのも印稿を書いてて転写が出来たからでした。
1、印稿をレーザープリンターでコピー
印稿をスキャンして、印面にあったサイズで印刷します。
印面のサイズの96%~98%の大きさで印刷してます。
インクジェットは駄目です。印刷は、レーザープリンターで印刷です。
コンビニなどのコピー機は、レーザープリンターです。
印刷する際は、最低3回分は印刷してます。
2、マスキングテープを貼る
印面に置いただけではズレるので、予めコピーした紙にマスキングテープを貼っておきます。セロテープはアセトンを浸透させないので避けた方がいいです。
3、位置の確認
印刷物の上に印材を置いて、サイズに問題がないか、ズレがないか上下左右をしっかり確認します。
4、印刷物を固定
大きさ、位置に問題がなければ印刷物に貼っておいたマスキングテープで固定。
5、アセトンを塗布
今回は、19m㎡の大きさなのでアセトンを指に少し湿らせて塗りました。
大きなサイズになるとティッシュにアセトンを湿らせて中央から外に空気を押し出すように塗っていきます。その際、力を入れ過ぎると印刷物がズレるので軽く押せえるように拭く感じでアセトンを印刷物に塗っていきます。
6、剥がす
アセトンは揮発性が高いので数秒で乾きます。引火性も高いので火気厳禁です。
剥がす際は、ゆっくり剥がしながら転写されているか確認して剥がします。転写できていない部分があったら印刷物を戻して上から再度アセトンを塗って指で軽く押さえます。
7、転写を終えたら刻す
印稿を確認しながら、細かい部分を補筆していけば転写は完成です。
あとは、サクサクと刻していくだけです。
5月末の締め切りとなっている楽篆のお題を刻しましたが、冴えがないので没にします。
仕事でカツカツの状態で作品づくりとなると良い物はできませんね。それより2時間半を費やしてしまった。そっちが、ちょっと痛い…。
時間を見付けて、再度、印面を潰して刻し直します。
コメント
想像していたよりも簡単そうですね。(慣れればでしょうが)
アセトンの値段も解って大助かりです。
すぐ慣れるとおもいます。^^
第一の壁は、印面に対してどの位の大きさで印刷するかと思います。
2倍寸で書いたら、49%縮小で印刷するという手もあります。
第二の壁は、アセトンを塗り過ぎて文字が滲むこともあります。
これは印刷機によって異なることもあります。セブンイレブンのコピー機は転写が出来ないと聞いたこともあります。
私は、転写する際に軽く擦って乾くのを待ちます。
あとは、写っているか確認しながらゆっくり剥がしてます。