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印鑑の現状と、未来…

文字の線を綺麗に整える重要な工程となる仕上げに使う印刀です。刃先は、片刃になってて、業界では仕上げ刀とか、半差しと言われます。

刃先は薄く鋭いので、切れ味は1、2本仕上げたら研ぎ直す必要があります。なので、印刀の中で一番減りが早い刀になります。

画像の様に2年使い込んだ仕上げ刀は、何度も研ぎ直したことで短くなってます。あと1年使うと更に短くなって固定しづらくなれば廃棄となります。

2年間、何度も研ぎ直したことで短くなってます

彫刻機械を使っている印鑑屋であっても仕上げ刀を使って、針が入って行かない部分や、文字の線を綺麗に整える仕上げが必要となります。

なのにこの仕上げ刀の需要がなく、問屋に在庫として置いてない状態です。

パソコンの文字を使い機械彫刻する印鑑屋が大半を占めてます。そんな印鑑屋の年間の生産本数は、当店の数倍、数百倍とあるのに仕上げ刀の需要はない。この事は、仕上げを掛けてないということが見えてきます。

仕上げ刀は繊細ですので、研ぎ澄ませることが大切です。

「最近の彫刻機は優秀で仕上げまでしてくれる」と、仰る方も居ますが、実際は、文字のそばギリギリまで太目に彫り、文字に近づくと細く彫ることで“仕上げ風”に見せる彫刻プログラムであって、本来の仕上げとは全く違う。

本来の仕上げを知らないからこの様な言葉が出てくると思います。

この事から見える大きな問題は、未完成の印鑑を印鑑屋が未完成と理解できずに販売していることが問題と思います。

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印刀を研ぐことで砥石が凹むので面を平らに戻します。

昨日、Instagramのストーリーにアップしたら、フォロワーでもあるイタリアのJ氏からメッセージが届きました。J氏は、日本の印鑑屋が彫刻機で玩具のような印鑑を作っている現実を御存じでした。

また、メッセージの中で「パソコンの文字を使い、彫刻機で彫られた印鑑には個性も魂も感じられない。昨年、来日した際に子供の玩具として購入した。」と、書かれてありました。

海外の方にも見透かされている印章業界の現実。

河野太郎氏が印章廃止を唱えた際には、印章業界は「大切な文化だ!重要な物であり残すべきだ!」と、声高々に訴えましたが、いい加減な印鑑を販売できている現状をどうにかしないといけないのではないでしょうか。

技術を有し、更にその技術を使っている職人は極僅か。その職人が居なくなり、上っ面でなく、しっかりした技術継承がされなくなった先の印鑑の存在価値には疑問符が残ります。

彫刻機を使うなとは言わない。
製作に関わる方が手書きで書いた文字を使い、機械で彫って、手で仕上げをすれば、上手い下手関係なく唯一無二として立派な印鑑となり、社会的存在価値が生まれる。そうでないと印鑑の存在価値はなくなっていく。

コメント

  1. 三田村薫 より:

    印章業界が技術を大切にしない状態に警鐘を鳴らし続けましたが、何らその対策を打ってこなかった結論が、今の現状であり、技能検定が近づき始めると行われる対策講習会も滑稽に感じます。
    今更何をパフォーマンスをと実体との乖離に嫌気がさします。
    全国の技術講習会に活気を与えるために、そこに人とお金を投じて来ていれば、「押印廃止」騒動があっても対策を打つ事が出来たと考えます。
    対策ではどうしようもなく、根本から間違っていたのです。
    今の需要減は、技術軽視の結論だと言っても過言ではありません。

    • 店主 より:

      コメントを頂き、ありがとう御座います。

      技能検定は、技能を計るレベルの低さに受験する側としても呆れて「こんないい加減で形式的な試験に何の意味があるのですか?」と、K会長に質問したほどでした。
      今まで彫刻機を使って未完成を売るという「楽して儲けたい」が先行した結果が今に至っていると要因として大きいと思います。

      あともう1点が、技術を有する者にも問題がありと感じます。
      酷い状況に対して、面倒ごとを嫌うごとく我関せずとしてきているのも感じます。

      楽して儲ける思考、無関心、技術軽視と色んな要素が組み合って今の状態になっていると私は思います。
      ほとんど規制がなく何でも有りの業界というのは、こうなるのも致し方ないのかなと思います。

      技術講習会では、技術に加え、商いの仕方、商いの心得もある程度は教える必要があるのでないかなと私は考えます。
      なぜなら、技術は習得できたが、技術と労力に対して安い価格でしか売ることが出来なく、技術の習得のメリットを感じず途中で向上心が消えて、再びお粗末な判子をつくり出すのではないかと思います。
      商いの仕方は、人それぞれですが、基礎的なことや、最初の目標数値、職人としての心得など共通項を何か伝えられないかと思います。
      特に薄利多売の商売をされていた方には、技術を有した後の商売は変えないといけないと思いますので。

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