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千円札を眺めてみる…

先月、山口県のガソリンスタンドで偽千円札が使われた。
透かしもある高精なつくりで、紙質を誤魔化すためにクシャクシャにしてあったようです。透かしまで入っていながら記番号と、総裁之印、発券局長の2つの判子の印影が抜けてたようです。

毎日新聞(2020年11月25日)の記事
https://mainichi.jp/articles/20201125/k00/00m/040/375000c

お札の表には、「総裁之印」の印影が印刷されてます。

この判子を見ると、…!? となり、総の糸偏の形に目がいきます。

そこで、篆書大辞典(綿引滔天編)、篆刻辞典(中西庚南編)、篆刻辞典精粋(師村妙石編)を引いて糸編の字形を確認するがどこにも載ってない…

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篆刻字林(三圭社)にようやく絣(ホウ、ヒョウ、かすり)の文字に総裁之印の総の糸編と似た字形がありました。

篆刻などの作品づくりをする際、変わった字形があったら他に似た字形がないか数冊の辞書を確認します。確認して1、2文字しかない場合は、誤字の可能性があるので使うのを避けます。

文字の採用には要注意!

私もつい先日、ミスってました。
楽篆に出品する干支の印「辛丑」を金文で刻し出品した後に、石間先生に見せると「辛(シン、かのと)は針なので中央の縦画は垂直でないとダメでしょ」って指摘されました。

昔は、貴重な品で大切に長~く使っている針なので曲がった針も…昔はあったのでは…?

なんて言えません(汗)
年明け1発目の楽篆では、かなり低い評価となるでしょう…orz

そこで再度、参考にした希夷斎さまのInstagramにアップされている画像を確認すると垂直…

ただ、1つだけ曲げた作がありました。
その印は、円形の印で円の右下において垂直だと縦画が短くなるので、曲線に合わせて曲げてあるだけではないかと、後からそのように考察しました…orz

文字は、慎重に確認し採用しないといけません。

なぜ総の糸編をこの形にしたのか?

「総」の糸編をこの様な1パターンしかない字形を採用したのか考えました。

再度、判子屋が使う辞書である印章辞林を確認。
その辞書には、印章新篆という判子屋がつかう独特な篆書体があります。

この書体は、小さな印に文字を入れる際に通常の字形では納まり難かったり、狭くて入りきれなく不具合が生じるので、判子屋があみ出した書体です。 簡単に説明するとスマホの画面に出てくる文字みたいに簡略化された文字。

再度、2枚目の印影の画像を見てもらうと分かりますが、左2文字と、右2文字だと明らかに左右で画数が差があります。

そのまま入れると上の画像のようになり、目の錯覚も生じ、右2文字が小さく見えます。それを考慮して、あえて糸編を簡略化した字形をとり、裁の文字も横画を1本減らした省画した文字を採用して、なるべく画数の差を抑えるようにしたのではないかなと、私は思いました。

ただ、私だったら…

この印の書体は、印篆で基本的に垂直水平の書体なので、印の斜線は上の画像のように緩やかな斜線にするのと、之を画数が多い形にしるかな。

日本銀行のHPに千円さつの偽造防止技術が紹介されてました。
https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/security/bnnew4.htm/

コメント

  1. めいらく より:

    お札の総裁之印の之の字形は、ボクの黙而識之の楽篆出品作と同じでした。真鍋井蛙先生に、この之の形はほぼ例がないのでわざわざこの字形を選ぶ必要がないというアドバイスを戴きました www

    • 店主 より:

      めいらく先生
      井蛙先生もそのようなコメントをされてましたか。
      この印の字形は、判子屋さん独特の字形ですね^^

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