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朱肉のにじみの差と、職人が使う朱肉(印泥)

朱肉と言ってもメーカーに寄って異なったり、1つのメーカーでも通常のタイプや、速乾性のタイプ、スポンジにしましていない練り物の朱肉など、多種多様にあります。

メーカーに寄って色合いや、滲み具合が異なります。
滲むと、印影が判読し辛くなったり、職人が作った美しい印影が台無しになってしまったりします。

朱肉の滲みの違い

今回は印泥と、一般的に使われる朱肉との比較をしてみました。

左側が、油分を減らして練り上げた愛用の印泥。
右側が、一般的に使われる朱肉(スポンジにインクを含ませている物です)

ゴム印なので雅味が鮮明でないですが、捺印した際に朱が広がらない印泥と、捺印後に朱が滲むモルト朱肉の差はこれ程あります。
(※捺印する紙によっても異なります)

滲む朱肉は使えない

事務等で使われているぐらいではあまり気にならないと思いますが、印影の映えが重要な物に関しては使い物になりません。

印鑑の仕上げは、捺印→確認→修正→ 捺印→確認→修正→ を繰り返しますが、 一般的な朱肉では滲んで確認なんて出来ません。

油分調整

また購入したばかりの印泥も油分が多く表面はテカテカに光ってます。捺印しようとすると印面に朱が多く付着して下の画像の様に線が太ってしまいます。

線が太り細かい部分が潰れると、どこをどう修正すればいいか全く分からない印影となります。

仕上げが出来る印鑑屋かどうかの判断基準の1つにもなる

昨今、機械屋さんが彫刻機を印鑑屋に売る時に「彫刻精度があがり仕上げは不要です」と言って販売しているが、技術を有する職人が機械彫刻された印鑑をみたらやはり仕上げを掛けます。

最近の彫刻機は、かなり優秀になってきてます。それでも最後は手を加えますが。ただ技術を有していないと、どこをどう修正すればいいのか分からないのと、短時間で大量に作らないといけないので仕上げをせずお渡しとなっている印鑑屋が多い。

仕上げは印鑑をつくる上で彫ることより重要な作業工程です。細部を把握して仕上げるので、油分調整され滲みがない印泥が必要となります。

なので、技術を有する職人は適切な油分を調整した印泥を使ってます。印泥の有無が判断基準の1つになります。あくまで1つです。
ただ、持っているだけという事もあるので。

まとめ

・朱肉の滲みが少ない方が、印影が美しい。
・朱肉の滲みが少ない物を選ぶ。
・事務ならモルト朱肉がお勧め。
・印泥は最高の朱肉だが、管理が面倒なのでお勧めできない。
・印泥風の練り朱肉は、温度で滲みが変動しないのでお勧め。
・書画をされる方は、印泥に限ります。捺印する紙に合わせて油分調整。

あとは、色の好みで赤っぽいのがいいとか、黄色いぽいのがいいなどあるので、お好みで選ばれると良いかと思います。

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