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アナログな彫刻機

当店にも彫刻機は御座います。
それも20年以上前製造が中止された光電式彫刻機と言うアナログで骨董品の様な機械を使ってます。
メインは三文判(出来合い)です。
あとは、法人印で手彫りの予算が無い場合に機械彫りでお作りしております。

今、印鑑屋さんが主流で使ってるのは、パソコン上でレイアウトして、彫刻機が彫るタイプです。
当店のは版下を手書きで書いて機械にはめ込んで彫る機械です。
左側が版下、右側に印材をクランプして両方が回転して動きます。
これが出た当時は凄く画期的な機械で印鑑屋がこぞって導入したそうです。
特に印鑑屋は1人で仕事してるとこが多いので、彫ってる間に次の仕事が出来るとなると有難い事ですね。
この次に出た現在主流のパソコンとリンクして彫る彫刻機が出てから、彫れない、文字を知らない、文字のバランスが分からない印鑑屋が増えて行く事にもなったのではないかと思います。
書道や篆刻をされてる方からは「今の印鑑屋の文字のバランスは酷い…」と嘆く声を聞きます。

光電式の原理は、版下に光を当てて墨で書いた部分は光が通らないから右側の回転してる針が上がります。
逆に光が通ると針が落ちます。
光電式は彫り残しが多いので最後に手を加えないといけません。
あと、厄介な事に墨を濃くして書くので筆の穂先が引っ張られる感じで書き難いし、太めに書かないと彫り上がった字が細くなると面倒な点があります。
書道の文字をそのまま印鑑に入れると見栄えが悪くなるので筆法を変えないといけません。
そこら辺も難しい点です。う~ん…
この光電式は悪い癖があって低速で動かすと止まります。
修理に出しても直らなかったので、止まったら動かす、止まったら動かすの繰り返しです。
最新の機械を入れても三文判程度しか彫らないので導入にまではいけません。
老体の機械ですが、まだまだ頑張って欲しいものです。