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9年前の角印の作を見返してみる

9年前に摸刻した指鹿為馬

9年前、大阪の講習会に行って1発目の課題が辻成軒先生の隷書古印体で作られた「指鹿為馬」の摸刻した物が出てきました。

摸刻とは、丸っきり同じように字入れして、彫り上げること。

指鹿為馬
司馬遷に出て来る漢文。 鹿を指して馬と言う。
意味:道理に合わないことを、権力を背景に無理に言いくるめること。

この頃、父が字入れをしてその粗彫りをする日々で粗彫りは5年間で何百本と彫ってきてましたが、父からは「上手い上手い」としか言われず、これでは駄目だと思ってた時に京都の判子屋さんの紹介で大阪の講習会へ行くことになりました。

その大印講習会で初めて出された課題の作です。
なので、この作は粗彫りを終えて大して仕上げを掛けてない状態です。

文字の線が交差する墨だまりの部分は2番に細い印刀を文字の形に沿って回すように彫っていたと思います。これもベアリング付いて回転する篆刻台があるから出来た技なのかも。

摸刻した指鹿為馬

この頃は仕上げが出来ないので粗彫りでいかに完成形に近づけるかでやっていた頃です。
今の自分から見てもある意味で凄いって思う(笑)
今はここまで緻密に粗彫りはしませんからね。

今はある程度、仕上げで調整できるようにマージンを残して、仕上げで文字の形を整えてます。それを思えば粗彫りの技術は落ちたのかも(笑)

他に気になるのが自分にしては極端に彫りが浅い点です。
深く彫ると線が乱れると思って浅く彫ったのか?初めて大きな文字を彫ったからか?

印面の底に目をやると真っ平らに仕上げてないのが目立ちますね。
また、枠に目をやると外から削って細くしているだけなので、内側のラインが粗く枠の太さがまだまだ太いですね。
この頃はこれが精一杯だったのかと振り返ります。

作った物を残しておくのもいいものです。

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